会社への貸付金

中小企業の事業承継に関連して、経営者から会社への貸付金をそのままにしてしまっていたため、相続発生時に多額の相続税を払わなければならなかったという話がありましたので、対策のひとつとしてデット・エクイティ・スワップをご紹介しておきたいと思います。

デット・エクイティ・スワップとは、Debt Equity Swapであり、Debt（債務）とEquity（株式）をSwap（交換）する「債務の株式化」のことです。簡単に言うと、貸借対照表の貸方勘定である長期借入金が資本金に振り替えられるというものです。その結果、自己資本比率が向上します。一般的に「DES」と略称されています。

会社の決算書をご確認ください。経営者からの多額の借入金がそのまま放置されていませんか。

このような状態で相続が発生すると経営者の貸付金がすべて相続財産に加算されることになります。更に、貸付金利を徴収していない場合がほとんどと思われますので、未収利息も念頭に入れておかないといけません。経営者個人の資金の蓄積があるからと安易に会社に貸し付けたままにしていると、まとまった相続税が課されることになり、残されたご遺族は現預金を取り崩して支払うことになるのです。

相続人となる、配偶者や子供が経営に携わっていないケースも多いので、注意が必要です。

デット・エクイティ・スワップをすることにより、経営者の貸付金が株式に代わるため、相続財産が低く評価されることになります。つまり、貸付金のままだと全額が相続財産価額として加算されますが、非上場株式の場合は評価額が下がる場合が多く、事業承継税制適用の可能性もあります。

相続・事業承継対策の一つとして検討されてはいかがでしょうか。会社手続きについては司法書士に、税については税理士にご相談されることをおすすめします。