「法定相続情報一覧図」をご存じですか

銀行や保険会社、税務署、法務局などで相続手続きをするには、相続関係を証明するために、戸籍の束をその都度、提出しなければなりません。

ですが、法務局から「法定相続情報一覧図」の交付を受ければ、「法定相続情報一覧図」を戸籍の束の代わりとして相続手続きに使うことができるのです。

この「法定相続情報一覧表」は、法務局で何枚も交付してもらえるので、複数の窓口で相続手続きを行わなければならない場合に、同時並行で進めることが可能となるという便利なものです。

この「法定相続情報一覧図」を交付する、法定相続証明情報制度は、平成29年5月29日から全国の法務局で始まったものです。

そして、この「法定相続情報一覧図」を交付してもらうための法務局への手数料は、無料です。

ただし、交付してもらうためには、戸籍や住民票といった所定の書類を法務局に提出する必要があり、そのための戸籍等の収集費用は別途要します。

相続のときに、必ず利用しなければいけないの?

法定相続情報一覧図は、必ず利用しなければならないものではありません。必要に応じて、利用したほうが有益な場合のみ活用すればよいものです。

では、どのような場合、利用したほうがよいのでしょうか。

  • 複数の金融機関等などで、相続手続きを同時並行で進めたい場合
  • 相続税の申告期限が迫っていて、急いでいる場合
  • 収集した戸籍類の通数が多い場合

などの場合です。

A銀行が終わったら、次はB銀行、というように順繰りに相続手続きを進めても時間的な余裕が十分ある場合は、この制度を利用する意味はあまりないと言えます。
ちなみに、銀行の相続手続きに要する期間は、その金融機関によりますが、当日中に完了することはまずなく、1金融機関につき1週間から3週間程度みておく必要があります。

戸籍を法務局に出すだけで、法定相続情報一覧図をもらえるの?

法定相続情報一覧図は、法務局が作成してくれるわけではなく、これを使用したい相続人のほうで作成する必要があります。

相続人が作った一覧図を法務局に提出して、その一覧図に法務局が認証文・認証印を入れたものが「法定相続情報一覧図」となる流れです。

法務局への申出書に必要事項を記入し、戸籍等の必要書類と一覧図を合わせて、以下の管轄する法務局のいずれかに申出を行います。

 (1)被相続人の本籍地(死亡時の本籍)
 (2)被相続人の最後の住所地
 (3)申出人の住所地
 (4)被相続人名義の不動産の所在地

「法定相続情報一覧図」は、即日交付はできません。登記申請と同じように、法務局に書類を提出してから、1~2週間程度の時間がかかります。法務局の混雑具合により、1週間以内に交付されることもあります。

提出した戸籍謄本等は、法定相続情報一覧図の交付時に返却されます。

申出や一覧図の交付(戸除籍謄抄本の返却を含む)は、法務局に受取に行くほか、郵送によることも可能です。

司法書士にお願いできる?

法定相続情報一覧図の作成・交付の手続きを、戸籍の収集も含めて、司法書士に依頼することもできます。

司法書士に手続きを依頼なさる場合は、委任状が必要になります。委任状は司法書士がご用意いたします。