相続の登記のタイミング

相続手続きには様々あります。その一連の相続手続きの中で、どのタイミングで不動産の名義変更登記をするのがよいと思いますか。

そもそも相続による名義変更の登記については、義務化(2024年4月1日施行)を控えたいま、放置すべきでないことは明らかです。

また、相続手続きの中には期限が定められているものがあります。期限があるもの、短いものを優先すべきなので、相続による名義変更の登記は、相続手続きの中でいえば終わりの方の順番でよいかもしれません。
一般的なやり方としては、相続税申告が10ヶ月なので、それを中心に考える方法です。

相続税申告のためには、遺産分割をしなければいけませんね。
遺産分割をするためには、相続財産を把握しなければいけないので、各銀行から残高証明書を請求する必要があります。

そして、残高証明書を請求するためには、①預金口座の名義人が死亡したこと、②窓口へで手続きをしている人が相続人であることを証明しなければいけないので、その前に戸籍謄本を集めておかなければならない、ということになります。

つまり、戸籍謄本を集め、各銀行で残高証明書を請求し、相続人全員で遺産分割をして、その後で相続税申告をするという流れになります。
この流れに沿っていただければ、結果的に相続による名義変更の登記のために必要な書類の準備ができますので、結論としては相続税申告の手前のタイミングで不動産名義変更をするのがいいかと思います。

相続登記では戸籍を返却してもらえますが、相続税申告で戸籍を提出した場合、返却してもらえません。
そのため戸籍を集めるだけでも時間と費用がかかることを考えると、登記申請の後で相続税申告の手順がベストです。

ただし、法定相続証明情報制度による証明書の交付を受け、相続税申告の際に同証明書を提出する場合は、戸籍そのものは不要となるので、登記との前後関係は問題になりません。

なお、相続税申告が必要ない方であれば、相続による名義変更の登記は、遺産分割の後でないとできないので、最後にしていただければ問題ありません。